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二次創作/夢
おまえのせいで明日が憂鬱


ここ最近轟焦凍に向けて呪詛を送りつける日々が続いている。
憎たらしい奴め…昔誘拐犯から助けてくれた事があるからって、やって良いことと悪いことがあるだろ!しかも私はあれくらい一人で対処できたわ!!


「そう思いませんか相澤さん」


「脈絡に欠ける話し方をするな」


いや、だって恨み言言わなきゃやってられないですしおすし。サーモン食べたい。

小さなテーブルを挟んで向かいに座る相澤さんの顔をじとりと見ながら、温かな湯気を放つ紅茶を口に含んだ。


「で、一体何なんですか?私の個性隠さないことにしたのはもう先生方知ってらっしゃるでしょ」

「ああ…その個性については職員会議でもう報告済みだ」


天使たちに「えっ隠しちゃうの…?」という目で見つめられた事が隠すことをやめた一番の理由だが…その原因となる言葉を発したのは間違いなく轟である。文句をぶつけようが、上機嫌に髪の毛を触りながらはぐらかされる毎日にただでさえ苛ついているのだ。こちらの気持ちを汲み取って欲しい。私は目立ちたくなかったんだよ馬鹿やろう。
そんな紆余曲折を経て、とりあえずは先生方に隠すことをやめたという報告をした。故に、私は今現在愛着のある黒髪黒目ではなくなっているのである。


しかし解せない。
私の個性についての話でないならば、なぜ私はヒーロー科の教師に呼び出されているのか…。私は放課後はのんびり家で過ごしたいタイプなのでサッサと帰らせてほしい。


「個性の話じゃないなら一体何の御用で…?」


「ああ…まあ一応個性に関わる話でもあるが」


なんだその濁した言い方は。
凄く、物凄く私に不利益になるような「予感」がする。や…やめろよ!何で相手がよりにもよって教師なんだよ!!轟とかなら全力逃走するのに!!!


「お前のクラス、集団食中毒で休講だろ?明日明後日まで」


「……ええまあ」


「誰かの土産を食ってそれに当たったんだったか。
まあ―…それはどうでもいい」


滅茶苦茶逃げ出したい気分である。なぜ私は呑気に紅茶を啜ってたんだ…!!美味しかったけどォ!とても良い香りがしたからついついおかわりしましたけどォ!!!!

そんな内心焦りまくる私を見据えながら、相澤さんはこちらに指を指し向けた。




「実際よく狙われる奴―つまりお前だな。












岸川朔、被害者役として明日の戦闘訓練に参加してもらう」






















「死ぬ」


間違いなく私は死ぬ。
クラスの奴らに個性について散々聞かれまくった後なのに。先生直々のオファーでヒーロー科と関わったら一体どれだけ質問責めにされるのか……恐ろしい…ヒィ………
食中毒で大多数が休みのクラスは、放課後ということもあってか人が少ない。自分の席に座り、うなだれるように机に伏せた。

「あれ、岸川さん」


「ぬん?」


やっべ気抜きすぎて変な声出た。

顔を声のした方へ向けると、心操くんが立っていた。相変わらずの素敵な無重力ヘアーだな、とぼんやり見つめていると、突然心操くんが笑い始める。


「ぬんってなんだよ…っふ、」


どうやら先ほどの声はしっかり彼の耳に届いていたらしい。
若干恥ずかしい…笑うなよ……
すねた顔をしていたのか、未だにすこしにやけている口角を押さえながら謝ってくる。仕方ないな許してあげるよ。君は普通科の中でも一番喋る友人だからね!!特別大サービスだよ!!!!


「まだ残ってたんだ?」


「岸川さんこそ、いつもはもっとはやく帰ってるじゃん。どうしたの?」


問いかけられて、意識せずとも顔が強張るのがわかった。ふふ…それ聞いちゃう…?聞いちゃうの……?


「…何かあったの?」


個性隠さなくなってからなんか疲れてるよね。そう言われて、傍目からでもそんなに顔に出てたのか、と思った。労るような響きがとても嬉しい。


「折角の休講なのに学校に来いって言われたんだよ、先生直々にねー」


「それはまた…」


まあ頑張りなよ。と返され、やる気のない間延びした返事をする。いくらマイベストフレンド心操くんに応援されても、元々持ち合わせていないやる気が生まれるはずもない。仕様がないから程々にやりますよ…ええ……サボったら後が怖いしな………


「もう帰るなら一緒に行く?」


「お、ほんと?帰ろ帰ろー」


今までも時間が合えば何度か帰路を共にしたが、前回とはかなり間が開いているので久しぶりだ。予習しなければならない教科の資料集等をリュックに詰め込み、扉横で待っていた心操くんの隣に並ぶ。流石に170後半代なだけあって、見上げなければ彼の顔が見えない。そういえば轟も同じくらいの身長差だった気がする。


「心操くんこの後急ぎの用事とかあったりする?」


「いや、ないけど」


「じゃあちょっと公園寄ってこう!駅横の!私触れないけど猫が群生してたよ!!」


「ちょっと待って群生ってどういうこと?」


他愛もない話をしながら、セキュリティー万全の校門をくぐって駅方面へと歩を進める。私がくだらないことを話して、それに彼が答える。たまに冗談を交えて辿る帰り道は、先程までの沈鬱な気分とは違って年相応の明るさに溢れたものだった。



あーあ、明日来なきゃ良いのに。























おまえのせいで明日が憂鬱

(いやまあ無理だってわかってますけどね!猫かわいい!!)(ほんとに群生してるね…何匹いんの、これ)(さあ…数えてないからわから、って助けて心操くん!猫やばい!!囲まれた!!!)(ちょっと待ってよ、なんか面白い)(呑気に写真取ってないでぇえええ)






* * * * * *

心操くんとは仲がよろしいよ!髪の毛隠してたぐらいじゃ揺らがないよ!!!

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