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二次創作/夢
エピローグ ― 嚆矢濫觴






そうか、と穏やかな声が震えた。


「稀咲は…死んだんだね」

「、ハイ」


あれから早一週間。
目覚めたのが数日前ということもあり、未だ動かせない体を斜めにしたベッドに預けた鉄は、ふ、と一息ついて目を伏せる。隣の椅子に腰掛ける武道は、静かに傚った。

三人が倒れた後、半間に連れられて逃走を図った稀咲。
それをドラケンの助けを得て追い掛けた武道は、彼のこれまでの行動の理由を知った。同じ塾に通う橘日向、彼女に無意識の内に依存していた稀咲、そして突如現れた花垣武道。ある意味では稀咲の世界をガラッと違う色にしてみせたと言っても過言ではないだろう。稀咲には好いた女を振り向かせる手段が分からない。他人の事を知ろうと思えなかったから。稀咲には何故花垣武道があそこまで輝く瞳を向けられるのか分からない。理解できない人種だったから。だから、知ることにした。こっそりと後をつけ、話に耳を傾け、彼が憧れるヒーロー像を知る。そうして彼は、その憧れの形を超えれば全てが手に入ると思い込んだ。あくまで橘日向が好きなのはヒーローではなく、花垣武道というヒーローであることが分からないまま。

そうして彼の才能は花開く。緻密に練られた計画は容易に人を動かし、堕落させ、付け上がらせた。どれだけ計画が長期に渡ろうと、その先には望んだものが待ち受けていると、そう確信して。けれど予想外にも、取るに足りないと思っていた男の横槍が何度も何度も何度も、それはもう鬱陶しいくらいに入れられた。彼に呼応するように、状況は刻一刻と変化していく。それでもこのゲームを支配するのは俺だと、稀咲はずっと操り人形の糸を握り続けた。最後の最後、みずからの手でその糸どころか人形そのものを撃ち抜いてしまうまでは。彼は叫んだ。

何故俺のものにならない、俺の思い通りにならない、こんなに愛しているのに!!

そんな稀咲を前に、武道は根本が間違っているんだと思った。愛しているのなら、優しさを贈ればいい。手に入れたいのなら、正面からぶつかればいい。少なくとも、橘日向が好む人はそういう人間だった。心の底では、稀咲自身も分かっていたのかもしれない。彼女が好きになるのは自分とは正反対の人間。でも諦め切れないから、その正反対のトップまで上り詰めればその視界に入れてもらえるのではないか、と。俺を見ないのならこの手で殺してしまった方がマシだと叫ぶ男は、もう纏うベールを何も持ち合わせていなかった。

ずっと、ずっと、何度もやり直してきた。その度に稀咲が邪魔をしてくる。良くなったはずの未来を掻き回してくる。それならきっと、お前も同じじゃないのか?そう思って、未来に返してたまるかと叫んだその時、逃げていた稀咲の足が止まる。何を馬鹿なことを、と男の顔は語っていた。

―瞬間、甲高いブレーキと眩い光、鈍い衝撃音。何度だってやり直して見せると声高に宣言した男は、呆気なく最期を迎えてしまった。

これにて関東事変は終結。逮捕者はその場に残った天竺幹部五名。三名の重症者を出した殺人未遂事件は、主犯を稀咲鉄太・共犯を半間修二として処理された。なお、半間修二は未だ逃亡を続けているという。


「…派手な死に様だ」

「最後まで理解できなかったです、アイツのこと」


俯いたままどこか悔しさを滲ませる武道を見て、鉄はその晒されたつむじにぷすりと指を刺す。動かしにくい体ではそれくらいしかできなかった。


「当たり前。違う人間なんだから理解できる訳ないんだ、特に君みたいな人はね」

「え?」

「タケミチ、折角だから教えてあげる。
器用なくせに不器用で、真っ直ぐぶつかれないから君のことが眩しく見えてたまらない。私たちはそういう生き物なんだ」


彼女の病室には人が耐えない。今武道が一人で話が出来ているのも、かなり珍しいことだった。何度も足を運ぶ中で気が付いたことがある。鉄の表情が柔らかいのだ。今までもちゃんと感情が読み取れる程度には動いていたが、目が覚めてからは特に多様な顔をするようになっている。ずっと張り詰めていた物が彼女の本来の表情を隠していたのかもしれないな、と武道は思った。


「稀咲もそういう男だよ。私の周りは不器用な奴ばっかりだから、よく分かる」

「…かなり遠回りなことしてるクロさんも人のこと言えないと思いますけどね」

「ふふ、言えてるね」


少し疲れたな、と笑う横には、これでもかと見舞いの品が置かれている。中でも目立つ特大のおにぎりマスコットは、一虎が鉄の目が覚める前から準備していたものだ。意識が戻ったと皆がてんやわんやの大騒ぎの中、何故か鉄にぎゅうぎゅうとおにぎりを力一杯押し付ける彼を総出で止めたものである。嬉しいのは分かるが押し付けるのはやめなさい!と大きな声が病室に響いて怒られたそうな。何故そんな暴挙に出たのかと問い詰めれば、クロはおにぎり大好きだから…と拗ねた顔で一虎は答えた。エネルギーになるから、と好んで炭水化物を食べる鉄の姿を昔からよく見ていたので、中でも頻度の高いおにぎりは大好きなはずと衝動的に買ったそうだ。これに反応したのはイヌピーである。クロが好きなのは豚骨ラーメンだ!と叫んで外へ飛び出そうとしたので、ドラケンは慌ててそれを止めた。ラーメンの現物を持って来られたら最悪出禁になる。後日渋々といった様子で彼が持ってきたのは、どんぶりに盛り付けられたラーメンをそのまま模したぬいぐるみだった。女性陣には意外と好評だったらしい。

そこから何故か見舞いの品がぬいぐるみ縛りとなり、何とも気の抜ける猫型クッションやらどら焼きぬいぐるみやら、それらが積もり積もって山となっている。看護婦も呆れるほどの量なので、新たに折り畳みの机を置いて山が崩れないようにされていた。採血や状態確認の際に邪魔と白衣のナースに言われれば、お年頃の男達は素直に言うことを聞く以外の選択肢がないのである。

窓から吹き込む風は、思ったよりも勢いが強い。閉めましょうかと言う武道に、鉄はいいよと返す。鋭さのある冷たい風を浴びるのは嫌いじゃないからだ。そこに病室の扉を叩く音がする。はい、と返事をすると、向こう側からエマの声がした。


「クロ!入ってもいい?」

「いいよ」


じゃあ入るねという言葉の後、カラカラと扉が開く。今日のエマの服装は珍しくパンツスタイルだ。好んでスカートを履くことが多いのにどうしてだろうと首を傾げていると、ちょっと待ってねと扉の影に隠れてしまう。何してるんだろう?と武道と二人で視線を交わしていると、ゴムが地面を擦る音がした。病衣を纏った男が車椅子を押されて室内に入ってくる。白銀の髪が揺れた。


「、イザナ」

「……ピンピンしてるじゃん」

「ニィってば、よく見てよ!まだクロ体動かせないんだからね!」

「俺は動ける」

「ニィがおかしいのー!!撃たれたんだよ!?」


少し口を尖らせてベッドの脇に来たイザナは割とピンピンしているらしい。エマとも言葉少なながらやり取りをしていて、そこに気まずそうな雰囲気はなかった。二人の後ろからはマイキーが顔を覗かせてよ、と手を振っている。しかし、鉄にはそれを気にする余裕はなかった。


「、」

「クロさん?」


エマがイザナの元へ突撃してからというもの、意味のないちょっとした掛け合いをする二人の姿は最早当たり前であり恒例行事になっている。イザナは最初こそ戸惑って何も話せなかったようだが、彼より前に意識が戻っていた鶴蝶の後押しもあってぽつぽつと会話を交わすようになった。迎えに来なかったから私から来ちゃった、と死んだはずの妹が現れた衝撃も大きかったのだろう。灰の奴…と零していたので、誰の仕業かは言わずとも分かっていたようだ。そんなこんなで、鉄が寝ている間にも色々あったのである。なので周囲はすっかり忘れていたが、鉄が倒れてからイザナに会うのはこれが初めてだったし、エマとイザナの二人がこんな風に話すなんて知るのもこれが初めてだった。

ほとほとと薄暮の瞳から涙を落として、鉄は二人を見つめている。きゅうと噛み締められた唇は横に引き結ばれており、力が入り過ぎているのか白くなっていた。顔をくしゃりと歪めているくせ、あまりに静かに泣くものだから、武道は最初そのことに気付かないまま声を掛けた。ところが返事はなく、あれと顔を見てみるとひたすら川のように絶え間なく涙を流し続けていたので、困惑にも似た声でええっと驚くほかない。慌てる武道を手で制してその頬を撫でると、イザナはグイと無理やり鉄の頭を抱え込んだ。


「…、イザナ……」

「お前さあ、泣き方鶴蝶にそっくりだな」

「うん…」

「否定しないのかよ」


ハハ、と笑うイザナの肩はどんどん湿り気を帯びていく。傍らでそれを見ていた武道は、黒川イザナあってこその瀬尾鉄なんだと改めて理解した。先程まで芯の通った声で話していた姿はどこにもなく、今の鉄は一番安全な巣の中で微睡む雛のようだ。そこが自分の居場所で、一番気の抜ける場所。言葉にせずともその様子が全てを物語っていた。


「……エマ」

「なあに、クロ」

「ありがとう」


顔を埋めたまま告げた言葉は、きっと「迎えに行ってくれてありがとう」とか「二人でいるのを見せてくれてありがとう」とか、色々な意味が込められている。それを分かっているエマは、うん!と笑って返した。礼を言いたいのはエマも同じ。私を助けてくれてありがとう、大切にしてくれてありがとう、ニィの傍にいてくれてありがとう。たくさんのことにありがとうと言いたい気持ちは山々だが、今はやめておく。生きているのなら、いつだって何度だって言えることだ。


「せっちん、今度エマとイザナと俺の三人でシンイチローの墓参りに行くんだ」

「…ん」

「お前も来いよ」

「…私も行くの…?」

「クロがいなきゃ駄目でしょ!」

「バーカ、俺をあいつらの中に突っ込んだのお前だろ。責任取って来るんだよ」


マイキーの呼び掛けに、鉄はイザナの肩から少しだけ顔を上げる。何故自分まで、とその疑問を隠しもしない彼女にエマとイザナは言う。自分達は平行線で繋がらないはずだったのに、それを結び合わせたのは他でもない鉄なのだから、ちゃんとそこにいてくれないと。目を白黒させて僅かに頷くと、やったね!とエマとマイキーがハイタッチを交わしている。イザナもどこか満足げで、鉄は夢かなあとぼんやり現実逃避をした。武道はなんとなくその気持ちが分かったので、精神安定剤のつもりで投げ出された手の上におにぎりマスコットとラーメンぬいぐるみを乗せておいた。イザナから体を離してその二つをぎゅうぎゅうと抱き締め始めたので、鉄的には正解だったらしい。イザナ的には不正解だったようで、武道は鋭い視線に射抜かれてしまった。南無三。

飲み物買ってくる、とニコニコしながら病室を去る華奢な背中を見送って、未だ止まらない涙を拭いながら、鉄はそういえばと口を開いた。


「タケミチと私たち以外に撃たれた人っている?」

「いないですよ?それがどうかしたんですか?」

「タケミっち、それで済ませるなよ…」


軽い口調で投げられた問いに対し、武道はしれっと何事もないような顔で返す。銃に撃たれるなんていうかなりの非日常を当たり前に受け止め過ぎていて、マイキーは普通に引いた。なんならイザナもちょっと引いた。しかし、意味もなく鉄がそんなことを聞いてくるはずがない。何かあるなと踏んだイザナは、じっとりとした眼差しで鉄を見た。


「なんでそんなこと聞くんだよ」

「いや、バレなかったみたいだなって」

「? 何が?」


話の主語が無いせいで、何がバレなかったのか分からない。マイキーがそれを突っ込むと、鉄は赤くなった目元と鼻を擦りながら言った。


「銃弾の数。八ある所を四に減らしといた」

「…エッ」

「…………またお前は…」

「何してんの?せっちん銃の使い方分かんの?」

「弾の込め方しか知らない。稀咲がいつの間にか調達してきてて…四六時中持ち歩いてた訳じゃなかったし、何発か抜いても初心者なら重さでは分からないかなって」


流石に全ての弾を抜くのはリスキー過ぎるのでやらなかったと告げるその顔は飄々としている。エマの死の偽装工作といい、銃への細工といい、スパイ顔負けのことをやってのけるなんて誰が思うだろうか。なんという危ない橋を渡っているのかと、彼女の行動は大半が自分に原因があると把握しながらイザナは痛む頭を押さえた。


「セーフティさえ気を付けてれば良いのは教えてもらったことあるから、拝借していじってたの」

「危ねえだろ」

「…周りが危ない目に合うリスクを減らしたかった」


まず教えてもらったことがあるとはどういうことなのか、拳銃を軽々しく拝借していじるなとか、色々言いたいことはある。けれど、鉄の危惧したことが現実に起きているのも事実だ。放たれた銃弾は四発。武道の左足、鶴蝶の右肩、鉄の左手と左肩、イザナの左肩。鶴蝶を咄嗟に庇ったイザナは、動脈を傷つけた為か特に出血が激しかった。追撃を食らっていたら命はなかっただろうと告げられたことを思い出して、重いため息を吐く。


「…あの時お前、俺のトップクの裾引っ張っただろ。あれもあって死なずに済んだ。 …ありがとな」

「、うん」


稀咲と対峙したあの駐車場で、互いに銃口を向けあったことを武道は思い出していた。殺さなければ、ここでこの負の連鎖を終わらせるんだと構えた右手の重さは、今でも生々しく残っている。撃てない拳銃を構えていたとなると間抜けな話だが、それで良かったのかもしれないと今では思う。武道は、死んでほしくない人を助ける為に何度も走り抜けてきたのだ。決して人を殺す為にリベンジしていた訳ではない。だから、これで良かったんだろう。稀咲のことは未だにずっと靄として残り続けるだろうけれど、それは自分が抱えていくものだ。

マイキーと目を合わせて、二人にしてやろうと揃って病室の外へ出る。後から鶴蝶も行くと言っていたことを思い出し、本当に三人はずっと一緒だったんだなあと嬉しくなった。


「灰」

「なに?」

「お前、他にも何かやっただろ」

「…どれだろう」

「医者が異常に血が足りねえから回復が鈍くて目覚めンの遅くなるって言ってた」

「ああ、偽装工作の為に血抜いたんだ。本物じゃないと彼らは騙せなかっただろうから」

「お前………」


聞けば聞くほどぼろぼろとまあ沢山出てくるものである。呆れ果てたイザナは、それ以上の詮索をやめた。本人が後悔していないことを掘り返したってどうにもならない。つくづく馬鹿だな、と車椅子を揺らした。


「…天竺は無くなった。後始末のために残ったアイツらも…捕まっちまった」

「うん」

「お前は…」

「じゃあ、イザナと鶴蝶と一緒に迎えに行かなきゃね。蘭と竜胆はお出迎えしないと特に騒ぎそう」

「!」


鉄にはイザナの考えていることが不思議と分かった。欲しがるくせに、いざ与えられると怖くなる。何かを得る度に何かを手放さないといけない気持ちに襲われる。そんな必要はないのだと、鉄は笑った。今度は自分から手を伸ばして、白いシーツの上に置かれたイザナの手を握る。


「王様がいたら、どこだって国になる」

「…ん」

「私たちだけって言ってくれたでしょう。私も鶴蝶も君がいないと嫌だよ」

「…お前、エマはいいのかよ」

「気付いてた?」

「なんとなく。確信したのはマイキーの反応で」

「マイキー鋭いからなぁ」


ふふ、と軽い声が響いた。繋いだ手をそのまま引っ張られて、イザナの上半身が横たわる鉄の上に乗る。ちょうど耳が心臓の辺りにぶつかったので、イザナはそのまま柔らかな双丘に顔を埋めて鼓動に耳を澄ませた。生きてる音だ。先程まで鉄が抱き締めていたぬいぐるみ達は横に避けられている。ざまーみろと心の中で舌を出した。


「宝箱はね、自分でしか開けられないものなんだ。でも私は望んでその鍵を渡した」

「フゥン」

「大切なことには変わりないよ。でも、宝物はもう手放したの。もっと寂しいかと思ってたけど、なんだか穏やかな気分」


紫の瞳をそろりと上に向けると、薄暮がきらきらと煌めいて微笑んでいた。


「こんなに幸せな気持ちの初恋の終わらせ方、他の人にはできないよ」

「お前がそれでいいなら、いい」

「うん。…また素敵な恋がしたいな」


辛くて、苦しくて、ふわふわして、何でもないことで嬉しくなる気持ち。それをエマに教えてもらったんだよ、と鉄は言った。
それはもう幸せそうに目を細めて頭を撫でてくる姿を見て、イザナはふと思う。ああ、この顔が欲しいなあ、と。この温もりも、手の平も、鼓動一つでさえ自分の物にしたい。そうしてとっくに自分もその気持ちとやらに侵されていたことに気が付いて、咄嗟に自分の胸を押さえた。


「イザナ?痛むの?」

「違う」


ここがきっとスタートラインだ。黒川イザナにとっても、瀬尾鉄にとっても。
軽やかな風が二人に吹き付けて、カーテンが大きく揺れる。包帯の巻かれた鉄の左手を口元に寄せてガシガシと指を噛んだ。いてて、と頭上から降ってくる声にはお構いなしだ。カラリと扉が開いて、ひょこりと大きな傷痕の目立つ顔が覗いた。鶴蝶、なんて分かりやすく声が踊るものだから、早く来いと言う他ない。

―いつかお前と、愛し合えたらなんて思うよ。そこには鶴蝶がいて、アイツらがいて、そしたらきっと…きっといい[[rb: 家族 > 王国]]になる。

きっと、いい時代が創れる。今度こそ夢物語では無くなるだろう。傍らにある二つの温もりを感じて、イザナは笑った。






*






―じりじりと、焼け焦げていくような恋でした。火の余韻が残る、灰のような愛でした。


星の瞬きを知りました。
屋根の下での生き方を学びました。
生きる場所、生きる意味を貰いました。
人の温もりと無邪気な信頼を与えられました。
少し悪い遊びを覚えました。
恋という感情を目の当たりにしました。
隠し事が増えました。
宝物を隠した宝箱を託しました。
それでも、彼女は笑いました。





これは、ある一人の女の子の終わりと始まりの話。
黒川イザナを生きる理由とし、佐野エマに全身全霊で恋をして、自分のエゴと共に恋を終わらせた、とある灰かぶりの話。

彼女はきっと、また恋をするでしょう。蕾が花開くように、白鳥が空高く駆けるように。そうしたら、灰かぶりのベールは剥がれるのです。純白のベールは誰の手に?それはまたのお楽しみ。未来はまだまだこれからなので、誰にも分からないということです。
































○瀬尾鉄(せおくろがね):
早起きが苦手な灰かぶり。薄暮の瞳と灰の髪を持つ。ずっと頑張ってきたのでこれからふにゃふにゃになる。でも相変わらずエマとヒナとお出かけするし、場地と一虎とつるんで遊びに行くし、ついでに千冬と武道とも遊ぶ。更にはイヌピーとラーメン食べに行って毎回ココと鉢合わせになるし、マイキーに連れられてツーリングするし、三ツ谷家にお邪魔してマネキンにされる。そして最後には必ずイザナと鶴蝶の元へ帰る。昔はイザナを中心に並んでいたのに、今では鉄を真ん中にぎゅうぎゅうの団子になっている。嬉しいので何も言わないけれど、頭上で意味深に見つめ合う二人には気付かないまま。



【夢幻泡影】
→人生や世の中の物事は実体がなく、非常にはかないことのたとえ。

【揚州の夢】
→揚州は景色もよく遊興の土地であったところから、楽しく遊んで過ごした夢のような生活の思い出のたとえ。

【足るを知る】
→欲望にはきりがないので、自分の能力や環境など、分相応のところで満足する心境に到達することをいう。

【握れば拳開けば掌】
→同じ手でも人をなぐる拳ともなれば、人をなでる掌ともなる。心の持ち方一つで同じ物がいろいろ変わるたとえ。

【水火を辞せず】
→水に溺れ、火に焼かれるような目に遭っても、それをものともしないこと。苦難や危険をかえりみず物事に取り組むこと。

【死に別れより生き別れ】
→死に別れのつらさはあきらめでまぎらすことはできるが、生き別れは生きていて会えないだけに一層つらいということ。

【臍(ほぞ)を固める】
→物事をやろうと固く心に決めること。または、強く覚悟すること。

【胸三寸に納める】
→言いたいことがあっても心の中にしまいこんで、それを顔色やことばに出さないということ。

【盃中の蛇影】
→疑心を起こせば、何でもないことにも神経を悩ますということのたとえ。

【尺を枉げて尋を直くす】
→一尺ぐらいの些細な不義を犯しても、一尋もの大義が行われるのに役立てばよいということ。転じて、小利を拾てて大利をとるたとえ。

【あの声で蜥蜴食らうか時鳥】
→人や物事は見かけでは判断できないということ。美しい声で鳴く時鳥が蜥蜴を食べることに驚いた、という意。

【木に縁りて魚を求む】
→水中に棲む魚を木に登って探しても得られないように、手段を誤れば何かを得ようとしても得られないということ。 また、見当違いで実現不可能な望みを持つこと。

【虚仮の一心】
→愚かな者が一つのことだけに心をかたむけ、やり遂げようとすること。 また、愚かな者でも一心にやれば、目的を達成できたり優れたことができたりするということ。

【嚆矢濫觴(こうしらんしょう)】
→物事の始まり、起源のたとえ。



○テーマ曲:
・接触 ― THE ORAL/CIGARETTES
→「焼けついた香り、鼻の機能を停め暗闇に閉まって 心ない言葉に耳の機能を停めまた何かに膜を張った 僕が消える事は誰も知らない」
→「誰かのことを想うなんて傷つくだけじゃないか? 決して止まない痛みの雨に刺されるんじゃないか? どうしようもない僕の中だけでいい 本当にそうか?それでいいか?何か間違ってるんじゃないか?」
→「人を愛し 人を憎み そして人間となった 残酷なまでに世界とは誰かのもんさ 決してきれいじゃない そのままの自分で良い 何を選ぶか、それだけは僕の中に残したいんだ」

・ONE'S AGAIN ― THE ORAL/CIGARETTES
→「期待はしないように進みたまえ それでもまだ愛を探し続け、僕らは何万回も裏切られて立ち上がり続けると」
→「もう一回、あなたの元へ帰れるなら私は強くなれる もう一回一人になったって帰れる場所がいつもここにあること忘れないで」
→「もう何度やり直しただろう、分からなかった でも無駄じゃないから、きっと簡単に終わらせないから、この歌を僕らの覚悟にしよう」

・LITMUS ― 緑黄色/社会
→「誰より深く私を知っていたあなたにだけ言えない秘密がある その手を、その目を、その輝きをそのままに別れも告げずに離れてしまえたら良いのに」
→「嘘はついてない 本当にも触れない あなたにだけ言えない秘密がある」



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