銀魂 同調(銀八→高) 「ぁー…、校長に何か言えって言われてたけど覚えてねェや。じゃあ今日はこれで終わり。さぁ、帰った帰った」 このクラス、3年Z組の担任である坂田銀八の教師にあるまじき台詞によって終令は終わり、解散となった。 「土方さん、どっかで飯喰って帰りやせんか?腹減りました。勿論、アンタの奢りで」 「ふざけんな。毎日たかってくるテメェのせいで此方は金欠なんだよ」 「新八ィ、今から買い物付き合うヨロシ」 「いいよ。何買うの?」 「お妙さん!一緒に帰りましょう!!」 「やだ、なぁにこのゴリラ。此処は学校です。ゴリラは帰りなさい」 教室でいつも通りの賑やかな会話が交わされると、段々人が減っていく。 「…お前は帰らねェのか?」 教室で日誌を読んでいた銀八は、教室の一番後ろの席で携帯を弄っている青年に声を掛けた。 「…あぁ」 青年はさもどうでも良さそうに声を漏らす。 「ふぅん。ま、それはどうでもいいけど…」 「…?」 言葉を切った銀八を不審に思ったのか青年は怪訝そうに顔をあげた。 紫に近い黒髪がさらりと揺れる。 「一応、俺も教師だからさ。ソレ、仕舞ってくれない?没収とかしたくないのよ」 苦い顔をして携帯を指差す男に、青年は舌打ちをするとポケットに携帯を突っ込んだ。 「物分かりが良くて助かるよ、高杉くんは」 そう言うと、銀八は胸ポケットから煙草を取り出す。 一本を口にくわえて火をつけると思い出したように高杉の方へ顔を向けた。 「一本吸うか?」 「…お前、仮にも教師だろ」 高杉の呆れたような溜め息に、 「あ、そっか。未成年の喫煙は犯罪か」 とぶつぶつ言うと、煙草を胸ポケットに仕舞う。 暫くの沈黙の後、銀八が口を開いた。 「そういやぁお前どうなのよ」 「何が」 高杉の言葉にニヤリと笑う。 「彼女、いただろ?」 その質問に、あからさまに大儀そうな表情を浮かべた。 「あぁ…」 顔にはありありと、何だそのことか、と書いてある。 「別れた」 「別れちゃったの!?あの子、凄く可愛かったのに!」 自分には関係無いであろうに大きな声をあげてショックを受ける銀八。 「めんどくせェんだよ、女は」 「じゃあ、何。お前は男色だってのか」 「…はァ!?テメェ、頭大丈夫かよ?」 銀八の的外れな台詞に、高杉は呆然とする。 「だってそう聞こえたし」 「聞こえねぇよ、バカ」 銀八が日誌を閉じる。 静かな教室にパタン、という乾いた音が響く。 そして日誌を教卓に置いたまま、ゆっくりと高杉の方へ歩いてくる。 「大丈夫だよ」 高杉の席まで来ると前の席の椅子に反対向きに座り、机を挟んで向き合った。 「…何がだよ」 若干身を引いた高杉の顎を右手で捉え、自分の方へ近づける。 「ッにすんだよ…」 痛みに顔をしかめる高杉。 「大丈夫だよ、だって俺もそうだから」 「……は?」 目を見開いた青年に、教師はゆっくりと唇を重ねた。 触れるだけの軽いキス。 顔をあげると、呆然としている高杉に向かって言う。 「俺…高杉のこと…」 初の銀→高でした。 そして初の3Zでした。 楽しいですね、3Z。 [戻る] |