銀魂
お菓子と思い出と(沖+土+近)
「はっぴーはろうぃん!」
「ん?」
近藤は足元にじゃれついてきた子供を見下ろした。
「とりっくおあとりーと!」
子供は大きな瞳をきらきらさせ、近藤に向かって両手を差し出している。
「そうか、そうか。今日はハロウィンだな」
近藤が頷くと、総悟はひどく嬉しそうに笑った。
「お菓子があったかな…」
暫く黙って己の身体を弄る近藤を総悟は不安そうに見上げる。
「お、飴があった。これで我慢してくれ、総悟」
近藤はオレンジ色の包み紙の飴玉をひとつ、小さな手に握らせた。
「わーい!ありがとうでさァ近藤さん」
沖田が笑顔で近藤を見上げた時、土方が竹刀を担いだままやってくるのが見えた。
「近藤さん、呼ばれてるぜ」
土方は近藤の前までやって来ると、自分が来た方角を竹刀で示す。
そして足元の総悟に視線を移した。
「先輩、何食ってんすか」
「あんたには関係ねーでさ!」
ぷいとそっぽを向く総悟に溜め息を付き、土方は懐に手を突っ込んだ。
「コレ、いります?」
そして総悟に差し出したのは、青い包みの飴玉。
「!…いいんですかィ?」
「俺は甘いモンは苦手なんで、どーぞ」
総悟はそれを受け取ると顔中に笑顔を浮かべた。
「ありがとございやす!!」
「喜んでもらえてなによりです」
土方は総悟の頭を一撫でするとそのまま立ち去っていく。
「あいつも意外にいいとこあるじゃねーかィ」
その背中を見詰めながら総悟は手の中の飴玉を2つ、強く握り締めた。
10/10/31
Happy Halloween!
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