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銀魂
It's a sweet Christmas(土銀)
『お掛けになった電話番号は電波の届かない場所にあるか電源が入っていないため──…』
──パチン…






It's a sweet Christmas





「…うん、俺なら平気。…うん。そうだね。…わかってるよ…じゃ、仕事頑張ってね。…ばいばい」
パタンと携帯を閉じる音。

銀時は一度カレンダーを見ると携帯に視線を戻し、溜め息を吐いた。
「仕事が忙しいのはわかってるけどさ…」
誰にともなく呟く。

「…脳味噌にカビが生えそうな気分だわ」
頭を掻きむしり、テレビをつけた。
数回チャンネルを変えるも面白そうなものはない。

「くっそ…。これなら志村家のパーティーに参加するべきだった…」
今頃、あいつらはでかいケーキでも囲んで騒いでいるんだろう。

そう思うと悲しくなってきたので、銀時はみかんを持って炬燵に潜り込んだ。
「やっぱり冬は炬燵にみかんだろ。久々の一人の時間を満喫してやるぜ」

暫く液晶越しにイルミネーションやカップルを眺めていたが、それにも飽きてしまった。
「…今さら新八の家行っても追い返されるよな…。一度断ったのは俺の方だもんな…」
無意識に携帯を撫でる。

鳴らない筈の電話を秘かに期待して。
「……もう日付変わっちまうじゃねーか…」
小さく罵りながらうつらうつら舟を漕ぎ始める。

「俺は…お前に会いたいんだよ…」
そして意識を手放した。



###

「銀時…いるか?」
日付を跨いで1・2時間が経った頃、万事屋の戸が静かに開かれた。
「いねぇのか…?」

土方はブーツを脱ぐと慣れた様子で部屋に足を踏み入れる。
「銀…?」
居間から話し声が聞こえたのでそちらへ向かう。

居間ではクリスマスイルミネーションの様子を報道する若いキャスターの声が響いていた。
「寝てんのか…?」
炬燵に突っ伏している銀時に気づくと土方は声をかける。

揺さぶっても起きる気配はない。
時間が時間なだけに起こすのは諦めることにした。

そして懐から小さな箱を取り出すと銀時の前に起き、囁く。
「メリークリスマス…愛してるよ…」

「うん…俺も」
寝ているはずの恋人の返事に土方は瞬間停止。
「…は?」

「いや、だから俺も愛してるって言ってんじゃん」
のそりと頭を持ち上げ面倒くさそうに土方と目を合わせる。

「…いつから起きてたんだ?」
土方の問いに首を傾げる。
「んー…。お前が家に入ってきた辺りから?」
「最初からじゃねぇか!」

銀時は真っ赤な顔をして叫ぶ土方から炬燵の小箱に視線を移した。
「で、これは?開けていいの?」
「…勝手にしろ」

綺麗にラッピングされた包装紙を引き千切ると箱の蓋を開けた。
「…すげぇ、綺麗」
箱の中には美しい飴細工の指輪。

「本物渡したってつけねぇだろ?だから飴にしてみた」
懐から煙草を取り出し、火を点けながら言う。
「ありがとう…」

銀時は指輪をケースに仕舞うと土方に口付けた。
土方も銀時の背中に手を回し口付けに応える。

「世界で一番、愛してるから…」
自分のことを考えてのプレゼントに、銀時は心が暖まるのを感じた。



09,12,25
甘い話を書くのがとても苦手なワタクシが死ぬ気で書き上げた甘でございます。
満足ですか、meさん?
me様に限りお持ち帰りどうぞ。


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