01-1
そりゃあやっぱり毎日顔を付き合わせてたらケンカぐらいするモンだ。
と、言いたいところですが。
毎日毎日マーモンにべったべたしてる俺だけどケンカになんかなったことがない。
その代わり、たまーに帰ってくる家主サマとはかなりの頻度でケンカになる。


「だから!俺は悪くないって言ってんだろーが!」
「悪い。俺様の言いつけを破りやがった」
「リボーンの言うことなんか聞く必要ないじゃん!俺は俺の自由意思で活動するんですぅー」
「ペットは飼い主の言うことに従うモンだぞ」
「ひどッ!俺はお前のペットじゃねーよ!!」


ケンカの原因はまぁいつものコトだ。
長期で家を空けてたリボーンがようやく帰ってきた時、俺はお向かいさん家に入り浸り(むしろ寝泊まり)。
だってコロネロも軍のキャンプに行ってるしマーモンも珍しく特別任務中だし。
スカルとラルは家に住んでるわけじゃないから大概居ないし。

一人じゃつまんないじゃんよ。
そしたらガンマ兄貴がウチ来いよ、って。
行くっきゃないだろ。


「つかいっつも俺ヒマなんだよ。近所なんだから兄貴と遊んだっていーじゃん、野猿も来るから楽しいし」
「誰だノサルっつーのは」
「兄貴の弟分」


ピンクロン毛のチビ。
まだ成人前で幼いかんじのヤツだから気に入ってる。


「駄目だ。ソイツとも関わるな。だいたいヤツらは今はミルフィオーレだが、元はボンゴレと犬猿の仲のジッリョネロだぞ?」
「俺ボンゴレじゃねーもん」
「未だ筆頭候補から外れてねえんだぞ」


そうなんだよな。
おかげで襲撃されることもしばしば。
周囲からのラブコールが絶えないわけだ。
面倒だから早く継いでくれよザンザス兄ちゃん。


「お前忘れてねえか?」
「………な、何を」


じり、と近寄ってきたリボーン。
やばいっスねー、目が八割方マジだぜ。
残り二割の余裕がなくなると……容赦ない制裁が待ってる。
今日はストッパーになる人間が誰も居ない、やべえよこのままいったら緊縛プレイとか本気で勘弁してくださいって。


「お前は俺の、愛人だろ?」
「……………だから何だよ」
「愛人ってえのは俺の機嫌取ってりゃいーんだよ」


―――プツン

ダメだな。
今のたった一言で、こっちがブチギレだ。


「………愛人になってやってるんだろが、クソガキ」
「ぁあ?」
「お前は俺を『単なる愛人』としか見てないってことだよな?お前が帰ってきたら腰振って喜べばそれでいいって?カラダがありゃ満足か、ホモ野郎」
「―――ッそうじゃねえ、」

「お前はそう言っただろ!!」


力いっぱい叫んだ。
俺を凝視して沈黙したリボーン。
ちくしょう、涙で視界が歪む。


「………サイテーだ」


どっちが。
きっと最低なのは俺だ。
冷静になって考えたら、俺もとんでもないことを言ってる。

キレてたとはいえ、俺も言い過ぎだ。
単なる愛人だなんてリボーンが思ってるはずない。
あんなに大事に思ってくれてた。
分かってるのに。


「―――……出てけ」


え?


「この家から出てけ。ガンマ兄貴とやらの家に行きゃあいいだろう、それともザンザス兄ちゃんの世話になるか?……テメーは節操なしのクズだな」
「ひどっ………」
「顔見たくねえ。失せろ」
「それはこっちのセリフだッ!」


冷めてた頭にまた一気に血が沸いた。
もう知るもんか。
謝んなきゃと思った矢先にコレだ、やっぱりリボーンは最低野郎だった。
目に溜まってた涙がポロッと落ちた。
ああもう悲しんだ自分がバカらしい、何もかもにムカつく。


「お望みどおり出てくさ。お前以上に俺を思ってくれる人が居るからな!!」


ケータイだけ握って家を飛び出した。






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