歪みの国のアリス/パロ
僕はチェシャ猫
そこは不思議の国。
奇妙で残酷な世界はたった一つの秩序だけを守って、くるくると回っている。

 僕らのアリスが僕らの至上

アリスが全て。
アリスこそが僕らの唯一絶対。
一番の好きなもの?
アリス
一番の願い?
アリスの幸せ
君らの存在意義は?
アリスを守り愛し幸せにすること


「―――おかえり、僕らのアリス」


アリスは世界を忘れてる。
僕らのことも忘れてる。
だから思い出させてあげなくちゃ。
君が何のためにこの世界を創りこの世界にいようとしたのか。
それが君の、真実の願いだもの。


「誰?」
「猫さ。名前は君が知ってるよ」
「…………知らない」
「知ってるよ。僕らのアリス」


アリスが一度世界を離れて、僕らは秩序を失った。
混沌とした世界で何かが狂い始めた。
意志が生まれて自我が生まれた。
行動し始めた住人たち。
僕は猫、導く者。
導くのはアリスだけと決まっている。
アリスの世界が歪み始めたのを止められるのは僕じゃなかった。


「俺の名前は沢田綱吉だよ。アダ名はツナ、アリスなんて名前じゃない」
「僕らのアリス。おかえり」
「聞けよ人の話」
「聞いてるよ、アリスの話だから」
「…………だからアリスじゃないっつーに。やっぱ聞いてねーじゃん」


アリスはアリス。
他の何でもない。
僕らは覚えてるよ、君を。
ずっとずっと待っていたから。


「ってかさ、教室出たら正面に廊下の窓で左右に廊下が伸びてるはずだったんだけど…………ここどこ」
「廊下だよ」
「それは分かる。左右に伸びてるはずの廊下が何で正面にただひたすら伸びてんだか聞いてるわけ」
「それが廊下だよ」
「俺の学校は―――ってか普通の学校はそんなはずないんだよ!お前何だよ、見た目怪しいし学校の生徒じゃないだろ?どうしてこんなことになってんだよ!」

「それがアリスの望みだから」


君が望んだ。
この世界へ訪れることを。
僕らは応えた。
君はこの世界へ再び足を踏み入れた。


「―――お前の名前は」
「アリス、君が知ってるよ」
「お前の口から聞きたい」
「マーモン。初めはバイパーだったよ」
「どっち?」
「どっちでも」
「ならマーモンな」
「僕らのアリス、君が望むなら」

「俺のことはツナって呼べよ。アリスは嫌だ」
「―――いいよ。アリスが望むなら」


君はいつ、どこまで行けば、世界の真実に気づくだろう。
歪んだ世界は君を守るとは限らない。
僕は導く者。
気をつけて、君を守ることはできないんだよ。






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