ラズリル出航前夜A

ポーラの言葉に、場の雰囲気が一気に引き締まる。

思いを一つに、互いの目を見て頷き合う。

騎士団員としては、失格なのかもしれない。

だが、ジェドの友人としては、この窮地に何もしないでいられる訳がない。

「俺はついてくぞ!あいつをひとりになんてしておけるわけないだろ!」

「ああ、勿論だ」

「ええ、それは私もです」

力強く請け負う3人に対し、ジュエルの声はどこか弱々しかった。

「・・・あたしは残るよ」

「ジュエル!?」

「誤解しないで。あたしもジェドを信じてるし、ついて行きたい。・・・でもあたし、スノウの事も放っておけないの」

「スノウ坊ちゃま、か・・・」

ジュエルの言葉を、タルが苦々しく引き取る。

ジェドを流刑に追い立てた証言者がスノウ、という事を思うと、いかに大らかなタルであろうとも、語尾にやるせない思いが滲む。

最も、それを無駄に引きずらないのがタルがタルである所以でもあるのだが。

「――それに、あたし達だけが信じてるって言っても、4人で乗り込んじゃったらジェド、ラズリルに帰って来た時、居場所がないよね?」

ジュエルの顔が、痛ましげな悲しみの色に歪んだ。

「・・・・・・だから、『信じてる』って言ってあげないと・・・。ジェド、おかしくなっちゃうよ・・・!!」

「ジュエル」

顔を押さえたまましゃくりあげるジュエルの肩を、ポーラがそっと支えた。

柔らかな手の温かさで我に返り、ジュエルはごしごしと顔をこする。

感極まって泣いたのが恥ずかしいのか、いつもより早口で続けた。

「そ、それに・・・、スノウとジェドがばらばらなままも嫌だもん。いくら元々噛み合っていなかったからって!!」

「・・・ジュエル。それは地味にひどいですよ。いくら事実だからって」

「ポーラだってそーじゃーん!!」




クスクス、と女の子同士で笑い合い、ポーラは若干引き気味の男性陣に向き直る。

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あきゅろす。
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