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短編
2011年沖田誕生日
  






今年の夏は物凄く暑い。








3z沖神 2011年沖田誕生日








今年の夏は物凄く暑い。
なんて言葉は毎年言ってる事だからあんまり信憑性はないけれど実際合っている。

今年は暑くなったのがいつもより早い気がするからその言葉にもなんとなく納得がいくしそれを思うのはきっとオレだけじゃない。

そして今日の自分の誕生日だって毎年物凄く暑く感じる日の1日である。



「神楽ァ。」

クラスメイトの話しかける。

「何アルか。」

「帰ろうぜィ。」

「ウン。帰る。」


このクラスメイトはただのクラスメイトじゃない。


「今日はどこか寄って行きたいアル。」

「どこ?」

「そーごの行きたいところ。」


付き合い始めて2回目のオレの誕生日。


「う〜んじゃ、ラブホ「却下」














「オレの行きたいところって言ったじゃねぇか。」

「どうして始めからベットインアルか。」

「だって神楽ちゃん大好きだもの。」

「キモイアル。」


オレの誕生日だからって特別なことをしようとしないのは神楽らしい。


「じゃあオレの行きたいところは神楽の行きたいところ。」

「オマエそれ自分で考えるのが面倒なだけだロ。」

「まぁそうだな。」




神楽が少し寂しそうな顔をする。


「わたし、いつもそーごになにもしてあげれてないネ。だから今日ぐらいはそーごのしたいことしてあげられたらって思ってたアル。」


神楽がなにもしていないわけがない。


「じゃ、今日はいろんなところぶらぶらしようぜ。」

「そんなのでいいアルか?」

「オレは神楽が隣にいればそれでいいいんでィ。」

「………うん。」



なんとなく納得していないような感じはしたが、それでも嬉しそうな顔をしていたのを見てオレも少し嬉しくなった。














久しぶりに手を繋いで歩く。


この季節の放課後なんてまだまだ昼間みたいな気温で、太陽の位置もまだまだ高い。


(やっぱぶらぶら歩くのはやめときゃよかったかな)


どう考えてもデートに傘は荷物になる。
片手塞がるし。


普段一緒に帰る時は手をつないでいない。

神楽の登下校は番傘と荷物で手がいっぱいになってしまう。

でも今日はさっきのオレの言葉を理解してくれたのかオレの左手をぎゅっとにぎり、自身の左手は傘と荷物を両方持っている。


神楽の表情からは何を考えているのかはわからない。
もしかしたらなんにも考えていないのかもしれない。
(その可能性は物凄く高い。)


でもきっと神楽なりにオレの誕生日を色々考えていてくれていたのかもしれない。


「去年はさ、」

「ああ」

「そーごの誕生日に何したんだっけ。」


ああ、去年のオレの誕生日の事考えていたのか。


「えーっとな、確か………」



あれ?



「去年もぶらぶらしたんじゃなかったっけ?」

「そうだっけ。」


神楽の顔を見ると何かを考える顔が次第に変な顔になっていく。


「ぶらぶらしたアル。」

「だろ?」

「わたしたち1年経ってもやる事なんにも変わってないアルな。」


オレは地面に映る影を見つめる。


「そうだなぁ……。」


真っ黒な影はいつもと変わらず自分を映して自分を顧みさせる。


「でも…」


「結構変わったところもあると思うぜィ。」

「どこアルか?」


もう1度影を見る。


「去年の誕生日はこうやって手繋いでなかった。」


神楽も影を見る。


地面にいつもいる影は今日も変わらずそこにいるがいつもと違う事と言えば、オレと神楽の影が繋がっている事だ。


「手なんて普段繋がないけどオレの誕生日だからってオレの手を握ってくれた神楽は十分成長したって思う。」


神楽は少し赤くなっていたがやがてキッとオレの方を向いた。


「それって成長したって言うアルか。」

「そうじゃねぇの?」

「でも今日誕生日のそーごが1番成長したアル。」



確かに、今日はオレが年をとる日だ。



「そーだな」



ふっと笑ったら隣からもふふっと聞こえて、神楽の顔を見たらいつも見てるはずの神楽の笑顔がいつも以上にかわいくて、
年をとったら自分の好きな物がかわいく見えるのかと考えたら、

今日誕生日を迎えて
隣にいるのが神楽で
こうやってぶらぶらしているこの日がとても好きになれそうだと
ふっと心の中で思った。


そしてこの暑さだって季節の暑さだけではないだろうと確信もしたんだ。



あとがき
読めば読むほど意味わからないことに。
お誕生日おめでとうございますそーご。

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