five
「……そういえば、何処を探すの?」
何も考えずに被服室を出ちゃったけど、よく考えれば何処を探すのか全く聞いてない。
「さぁ?」
「………は?」
「知らないよ、シロウサギの場所なんか」
「…え、じゃあ、今何処に向かってるの…?」
「知らない」
……頭が、痛い。
「………あ、」
何か手掛かりはないだろうか、と思って頭を巡らせるうち、私はある物の事を思い出した。
血の付いた、白い布。
「…チェシャ猫、シロウサギって怪我してる?」
「…何で?」
「いや…さっき被服室で血が付いてた白い布があって……それになんか、変な血まみれの教室もあって………何となく、シロウサギかなーって…」
「ふぅん」
…この際チェシャ猫の素っ気ない返事は気にせずに、私は話を続けた。
「あの布…多分この間駅前にできたホテルのナプキンだと思うの。もしあれがシロウサギの血とかだったら……」
「じゃあ行ってみる?」
「…そんな簡単に決めちゃっていいのかな…」
「僕らのアリス、君が望むなら」
……何でそんな恥ずかしい事を淡々と言えるんだろう。
溜息をついてから、私はこくりと頷いた。
「じゃあ…行こう」
私の返事を聞いた後、チェシャ猫はにこりと笑って再び歩き始めた。
さぁ、シロウサギの元へ
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