5月20日
『須藤さん』が店に来た。
喜多村さんが俺を紹介する。
「なんだ、お前。ヤバい事してるんじゃないだろうな?追い詰められたような目ぇしやがって。」
葉巻をくゆらせながら、ギャングのボスみたいな風体の『須藤さん』はそう言った。
法にふれる事と言えば、18歳未満禁止の店で働いているという事と、飲酒喫煙ぐらいだ。
ガサ入れがあった時ヤバいのはあんただよ、須藤さん。
しかしかなりのお偉いさんらしいので取り入る事にしよう。
部屋を自分名義で借りる事は不可能だと言うと、
「分かってる。18にゃ見えねえよ、お前。正直に話すんならなんとかしてやれない事もない。」
俺は初めて、他人に真実を語った。
「彼女が妊娠したので、金が必要なんです。」
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