3月15日
喜多村さんに、「適当に配っといて下さい」と今年もまた、大量のキャンディやマシュマロを渡しといた。
あれだけ用意しときゃ、多分俺と付き合いのあった女全員に行き渡るだろう。
荷物がなくなり軽快に帰宅すると、曙覧が慌てて何かを隠した。
「エロ本?」
俺はさして興味もなく、冗談のつもりでそう言った。
「そう。お前のな。」
俺、そんなの持ってないよ。
「…趣味悪ィ。」
曙覧の手は震えている。
待て。コイツ、今どこに何を隠した?
曙覧を突き飛ばし、押入れを開けた。明らかに物の位置が変わっている。
「ゴメン。本当に悪かった。」
曙覧は真っ青な顔で俺に謝る。
「俺、まだ見てないんだ。どうしても…、見れない。
…どんなだった?」
自分が、涙声になって行くのが分かる。
「ユカの最後…、どんなだった?」
「見ない方がいい。」
曙覧はうなだれてそう言った。
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