[通常モード] [URL送信]
過去形
「…。
え、あ…。」

私は明らかに挙動不審になってしまった。

彼女は動揺する事もなく、


「聞いてるかしら?

息子が、いたのよ。」


と、言った。



「いやあの、全然あんまり知りません!」

自分でも訳の分からない弁解をする。

彼女は「別に、誰に話しても構わない事なんだけどね。」と、僅かに微笑む。

「反応、されると悪いから。」

「反応…ですか?」

「えぇ、特にアナタみたいな人にね。
傷付く必要のない事でも、アナタは心を痛めてしまうから。」


「私、そんなに優しくないです…。」


「そうかしら?
『他人は他人』って、割り切れるタイプじゃないでしょう?」

どうだろうか。

「その点、タカは付き合いやすいわ。あのコはそういう所、気丈に出来てるから。」

私より、アッケの方が優しいと思うけどな…。






「…亡くした、んですよね…?」

「そうよ。」



きっとアッケからしたら、後向きだと思われるだろう。

しかし私は、亡くなった人の思い出を語るのは大切だと思う。

[前へ][次へ]

あきゅろす。
無料HPエムペ!