比べられるもの…?
「タカの治療、どれくらいかかるの?」
「3〜4ヵ月だそうです。明日精密検査して、多分手術になるかと…。」
「再発の可能性も、あるんでしょう?」
「みたいですね。」
「復帰は、望まない方がいいんじゃないかしら?」
「え…ッ!?」
私より全然、仕事では近くにいた彼女の言葉。
「どうして…ですか!?頑張ってやっていましたよね?
もう使えないって事ですか…ッ!?」
彼女は悲しそうに首を横に振る。
「頑張って、いたからこそよ。」
意味が分からない。
アッケはヘアメイクの仕事が好きだった。
『生業』とか『天職』とか、良くそう言っていた。
「あのコは、本当の天秤にかけた事はないから。」
…?
「このままじゃ、全てを失いかねない。」
それって、私や子供たちとの生活の事…?
「王子様の半分でも、柔軟性があれば良かったんだろうけれど。
生真面目過ぎるのよ、タカは。」
『金を稼ぐだけなら、いくらでも手段はある』
龍二サンがそう言っていたのを、思い出す。
[次の章へ]
[前へ]
無料HPエムペ!