叶えるためには
その日のバイト帰り、私はひとりで寄り道した。
教習所にだ。
受け付けの人に簡単に説明をしてもらい、書類を受け取る。
保育園に着くと、神威が早速その書類をいたずらしようと目を輝かせている。
「ダ〜メ!これはママの大事!!」
まとわりつく神威をかわしながら、園長先生をお願いする。
「はぁーい、どうしました?」
ここの園長先生は早くに旦那さんを亡くし、女手ひとつで3人のお子さんを育てて来た。
今とは違い、働く女性に厳しい時代だったと言う。
「誰かひとりが風邪ひいて病院連れてくと、健康なふたりも風邪もらったりして来ちゃったりしたわ。
だから、高砂さん。そういう時はウチに預けなさいね。」
入園の時に、そう言ってくれた先生。
「あの、園長先生。私、教習所に通おうと思ってるんです。」
「あぁ、延長保育?ウチは夜8時までですよ。」
「いえ。バイトの日数は減らしてもらって、昼間通います。
教習所には、一応託児所はついてるんですけど…。」
園長先生は、神威を見た。
「…神威くん、無理でしょう。余所なんて。」
保育園とは、『働く女性』のための施設。
基本は、勤務時間+通勤時間に預ける場所。
「私もそう思います…。だから」
[次へ]
無料HPエムペ!