記憶の中の宝物
「ッせーよ、そこら辺で止めときな。」
いつの間にか起きて来ていたアッケが、私たちを背後から威圧する。
「…。…おはよ。」
とりあえず、ご機嫌取りに牛乳を出してみた。
全員で朝食のあと、残り半分になったオーストラリアでの生活の予定を話す。
「最後にもっかい、墓行きますか?」
私ブライトン、すごい好き〜。
「知ってる。
お前、騒がしいとこより落ち着いたとこのが好きだもんな。だから俺、ハミルトン島よりグリーン島選んだんだけど。」
「え、そうだったの?」
「夜んなりゃ分かるっつったべ。喧騒なんかなんもなくて、波の音しかなかったろ?」
「…へぇ〜、あのケーキがあるからじゃなかったんだぁ〜!?」
私はちょっとからかい口調。
「黙れ!!」
やっぱ、怒られた。
でもね私、いっこ心残りがあるんだ…。
ケーキの写真、撮りたかったなぁ〜。
もちろんずっと忘れないけど。
見せてくれた景色、
一緒に過ごした夜、
絶対…忘れない。
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