真実より大切 「英語が好きで…短大で専攻して、念願だった外資系の会社に就職したらしい。 そんで…どっか忘れたけど、転勤が決まって。それも出世コースだって…。」 夢持って更に叶えて、自力で幸せを掴もうとしてる。 「そんな人間に、手前勝手に生きてた両親の話しをしたところで…。」 私にも、確かに親のいない悲しみは分からない。 「けど、龍二サンや優花サンがどんな人だろうと、彼女のお父さんとお母さんなんじゃん? 多分、私なら知りたいと思う…。」 「アンタの母親は、馬の骨に孕ませられて勝手に死にました。 アンタの父親は、自暴自棄になって堕落し心臓発作で死にました。 こんな話し。お前、聞きたいか?」 「違う!」 私は力強く、否定した。 「私、優花サンの事は何も知らないけど! 龍二サンはそんなんじゃないじゃん!!」 「何がだ。」 アッケは私を凝視する。 「龍二がどんだけ想ってたとしても、これがなれ果てだよ。証明出来るモンがなきゃ、全て偽りになる。 そしてそれは、もうこの世にゃ存在しねェ。」 一層低い声で、私を威圧した。 [前へ][次へ] |