見つけた、彼の聖域
「え、あそこだよ。あのブルーの袋。」
別に隠す必要もないのだが、何となく…分かりにくい所にしまっておいた。
「今、イス持って…。」
アッケは背伸びしてクローゼットの最上段のそれを、乱暴に引っ張って落とす。
床に叩きつけられ、中身のノートと封筒が露になった。
彼は封筒だけを手に、ソファに座る。
中の『スプラッタ写真』を眺めているが、私の位置からは黄ばんだ写真の裏しか見えない。
俯いて、バラバラになったノートを片づける。
シャコン。。。
私は昔良く聞いていたその音に、顔を上げる。
ジッポの、音。
私が妊娠してから、彼は絶対目の前でタバコは吸わなかった。
これは無意識だろうか。
そして自分の携帯を取り出し、いじっている。
「…ここだ。
ここだったんだ。」
両手で顔を覆った彼の表情は、うかがい知る事は出来ない。
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