無駄、とは違うケド 「や〜っぱ全然違うなぁ。既製品なんざ、比べモンになんね。」 アッケはようやくソファから立ち、私の隣に来た。 「当然じゃん?だって…」 言いかけながら、私が手にした請求書。 そこに印されていた金額を見て、 多分一瞬、心臓が止まった。 「…あ〜、念のため。普通に着物は高いって知ってるよな?」 アッケはヒゲを撫でながら、私の顔を覗き込む。 「物に見合った金額なら、無駄遣いとは言わねェし。」 しかしすぐ、視線を外す。 「こっ…。」 「『こ』?」 もう1度ゆっくり、私を見る彼。 「こ、婚約指輪っっ!?」 「はァ?」 「いやだって、給料3ヵ月分だし!!」 アッケは大笑いしていたが私は彼に初めて、素晴らしい言葉を投げ付ける事が出来た。 「分不相応〜っ!!」 [前へ][次へ] |