走って、転んで。また起き上がる 翌日は子供たちを連れてお見舞いに行った。 抱っこをせがむだろうから、ワザと今までは連れてかなかったんだけど…。 アッケが連れて来いと言う。 「うィーっす!」 雑誌を読んでいた彼は、嬉しそうに手を上げた。 「パパがいたぁ〜!」 「そりゃいんょ。」 神威も尊命も、ベッドによじ登ろうとする。 「ダメ!パパ痛い痛いなの。お話しするだけって、ママとお約束したじゃん?」 私はふたりを制止する。 「んじゃ、ここ座ってな。」 アッケが体をずらし、私はベッドの淵にふたりを座らせた。 「検査、どうだった?」 「さァ?まだ分かんね。 ったく、さっさと切開すりゃいいじゃねェかよなァ?」 「そうもいかないから、検査するんじゃん?」 そりゃそうなんだろうけど、と、彼は苦笑い。 「パパってせっかちさんね〜。」 私は子供たちに語りかける。 「パパ走っちゃダメよ、転んじゃうよぉ〜。あぶい(危ない)からねっ。」 ちょっと意味を勘違いしてそう言った尊命を、愛おしそうに見つめる。 「そうかもな…。」 ぽつりと、彼が言う。 「俺、転んでばっかだったかもしらん…。」 そう言って、目を伏せた。 [前へ][次へ] |