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「10番、チャージング!」

ピッとホイッスルを吹いた審判に、アニキは突き刺さるような視線を投げかけた。

「ッざけんな!」

ソリの入ったリーゼントにとても良く似合う表情をした時、ウチのベンチメンバーの1人がコートに向かって大声を上げている。

だが彼は審判に抗議をしているワケではなく、レイに何かを言っているようだった。

両手を胸の前に広げて、それをなだめようとするレイ。顧問も同じ態度だった。

「ちッ!」

アニキは舌打ちすると同時に、カカトがペッタンコのキャンバス靴を脱いで放り投げ体育館の入口に仁王立ちになった。






「キャプテンはオメーだろうが、麗島ぁあーっ!!」






体育館中に響き渡る巻き舌の怒声に、その場にいる全員が振り向いた。

「戻せ、取られてェのかぁあ!!!!」

ただ1人を除いて。



「た、高砂 紫亘!…先輩!!」

『先輩』と取って付けたように呼んだのは、相手チームのヤツだった。

「紫亘先輩…。」

驚いた表情で力なく言ったのは、怒鳴られた張本人のレイだった。

「いいから戻せ。」

さっきまでの威勢はどこへやら。ブチ切れのリーゼントにアゴでしゃくられ、文句をたれていた1年坊主はみるみる青ざめて行く。



ところで。この騒ぎもどこ吹く風で、龍二はテメェの足首の心配しかしていないようだった。

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あきゅろす。
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