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オレはただボンヤリと、動き回る龍二を目で追っていた。

危険だし邪魔だから、と、今日はメガネではなくコンタクトにしているヤツを。

わざわざ、こんなんのを見に来る女共の気が知れねェ。



「地味だな、嫌いじゃねェけど。『守備の終わりは攻撃の始まり』ってか。」

オレにはなにがどう地味なのか、また逆に派手な試合がどんなんなのかもサッパリ分からん。

と、その時、ボールを手に入れた龍二の表情が変わった。

これまでは短いパスで確実につなぐようにバスケット下までボールを運んでいたスタイルが一転し、突然の速攻。

相手チームは全くと言っていいほど対応出来ず、龍二はドリブルでカットイン。

急激な展開に会場が一気にわいた。



それは、一瞬の出来事だった。

勢い良くフロントコートに切り込んだ時、ちょうど真正面に相手ディフェンダーがいた。

龍二はごくわずかな距離をとり、限界すれすれでそれをかわす。

期待感と危機感による歓声が過熱した、その瞬間。

かわしたディフェンダーの後ろにいたもう1人のディフェンダーと、龍二は激しく衝突した。

「あっ!!」

オレとアニキは同時に声を出す。だがアニキはすぐ冷静に状況を判断していた。

「手前のヤツで見えなかったんだべ。ブロッキングだ。」

相手ディフェンダーにより進路妨害のファウルだと、アニキは言った。

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