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体育館内をグルッと見渡すと、ウチの制服の女子がやけに目に付いた。

「今年はすげェ盛り上がってんな。」

ギャラリーの多さにアニキは満足そうに頷いている。

だが、オレには分かっていた。その女共が見に来ているのが『試合』ではない事を。

オレは階段を下りて、手に持っていたペットボトルを開けた。

それを勢い良く空きっ腹に流し込む。



キャップを閉めた時、ピーッとホイッスルが鳴り響いた。

それからしばらくして、アニキは時間を確かめる。

「あれ、1Qじゃねェの?ハーフっぽいな。8‐10で!?」

今の試合が第1Q(クォーター)なら2分間のインターバルのあと、第2Qが始まる。

だが5分経っても始まらないので現在ハーフタイム中で、次は第3Qらしい。

「なにがそんなにおかしいんだよ。」

「だって8‐10だぜ!?」

「だから、それのなにがおかしいってんだよ。」

「得点が少な過ぎる。」

「少なくったっていいじゃねェか。勝ってんだからよ。」

「そうじゃねェ。」

アニキは腕組みしてアゴに手を当てながらベンチを凝視していた。



第3Qが始まった。

途端、上がる黄色い歓声。

観戦しているアニキにも意味が分からず、不思議そうな顔をしている。

オレはアニキの隣に戻り、再びコートを見た。

素人目にもハッキリと分かる、到底得点にはつながらなそうな龍二のドリブル。

それに対しての、歓声だった。

「何だよ、そういう事か。つーか上辺でもいーからチームを応援しろっつーの。」

アニキは苦笑いしていた。

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