6 「オイ、曙覧!起きろ、行くぞ。」 日曜日。グダグダと惰眠を貪っていたオレは、アニキに肩を強く揺さ振られた。 「…は?なに?」 「いーから起きろって!さっさと着替えろ。」 両手を上げて大きなアクビをしてたら、顔面めがけてTシャツを投げつけられた。 「なんだってんだ。ドコ行くんだよ?」 急かされるままチャリの後ろに乗る。 聞けば、隣の区の中学校に行くらしい。 「今日からなんだよ、予選。」 「おォ。」 ウチのバスケ部の試合か。 「何だよ、もう始まってんじゃねェか。オメーがノロノロしてっからだぞ。」 「んだったら昨夜のうちに言っとけや!」 叩き起こされて連れて来られて、オレだって朝メシ食ってねェんだぞ。 オレとアニキは体育館の横にあるドアの外から、様子を伺うように遠慮がちに中を覗いた。 「お、レイちゃんが3番で龍二2番か。」 「あ?龍二、10番じゃん。」 「違ェよ、ユニフォームの背番号じゃねェ。」 バスケはポジションを番号で呼ぶらしく、龍二は『シューティングガード(SG/2番)』で、レイは『スモールフォワード(SF/3番)』との事だった。 「2番で有名なのはマイケル・ジョーダンだな。」 「へー。」 バスケに一切興味のないオレは聞き流した。 [前へ][次へ] |