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「だって浜荻ってすげー暗いじゃん。友達いねーし。」
「そうそう、授業以外でマトモにしゃべってるとこ見た事ねーよ。」
龍二と同じクラスになった事のないオレは、学校でのアイツを全然知らなかった。
「つか、メガネだし。」
「メガネってお前、それどんな差別だよ。」
確かに龍二は極度の近視でビン底みたいなメガネをかけているが、だからってそれだけで『暗い』?『友達いない』?『しゃべらない』?
正直、オレは入学した時から「高砂 紫亘の弟」のレッテルを貼られていた。
もちろん寄って来るのもソレ系のヤツばっかで。
それが原因で、龍二にはあからさまに避けられていた。だから、学校ではオレ達はほとんど関わらなかった。
「ん?タカどうした?」
「や、別に。」
この陰口に反論したところで、アイツはきっと迷惑に思うのがオチだろうよ。
お前のためにオレは黙っていてやっているんだかんな。
「ただいま。」
弁当箱しか入っていないカバンを放り投げると、見慣れたリュックのちょうど上に着地した。
「おかえり、曙覧。」
持ち主は他でもない、龍二。
「あ、そうだ。俺さっきクッキーもらったんだけど食べる?」
ヤツはオレのカバンをどかし、自分のリュックから小さい包みを出して寄越した。
「コレ、手作りだべよ。」
そんなもん、オレが食って良いはずがない。
「え?何?」
龍二は右手にリモコン、左手にタバコを持ってテレビの前に座った。
ちっともオレの話しなんか聞いちゃいねェ。
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