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20
3年に進級してすぐ、あるウワサを聞いた。

龍二が1回も登校して来てない、と。



「高砂。ちょっと来い。」

終礼のあと、担任に呼ばれた。

どうせまた関口だろ。心当たりが多過ぎる。

だが職員室に到着したオレを手招きしたのは、龍二の担任だった。

「浜荻が学校に来ないんだよ。」

「はい?」

まったく予想外の用件に、素っ頓狂な声が出た。

「電話しても出ないし、自宅に行っても留守なんだ。」

「あー。」

面倒くさがりのアイツが電話になんか出るワケねェじゃん。

「まあ浜荻に限って、お前と違ってサボってるって事はないだろうけど。」

へーへー、そりゃどーもスンマセンね。



その時、オレは妙な視線を感じて振り向いた。

げッ、関口。

「何スか。4階の便所の落書き、オレじゃねっスよ。」

「いや。お前ら仲良いんだろ?浜荻は一体どうしたんだ?」

「知らねェよ。カゼでもひいてんじゃねェの?」

「それ本当にお前、そう思ってるのか?」

「いいや。」

確かにアイツは頑丈に出来てんもんなー。

「というかあの落書き、お前か!」

「違ェって言ってんだろ!!」

オレはダッシュで職員室を後にした。









更に数日後。

これまで何ヶ月も姿を見せていなかった撫子の、焦燥の表情。

オレはこの時になって龍二の身にとてつもない事が起こっているのだと、ようやく理解した。



しかしその認識は未だ甘く、

すぐ見つかるだろうと、

また会えるのだろうと、

正直、この時点では楽観視していた。









約1年の月日を経ての再会のあと、オレを待ち受けていたものとは。



生命に憧れた魂の叫び。

温もりを持たない肉塊。

そして、

心を失くした生ける屍。

だった。



【完】

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あきゅろす。
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