2 「おい。このシチュエーションって、もしかして。」 「やっぱ!?」 オレ達は野次馬根性丸出しで、校舎の陰から縦一列に顔を少し覗かせていた。 「つか、どうする?」 「どうするもなんも、出るに出れねェだろうがよ…。」 オレの言葉に全員が無言でうなずいた。 「なんかヤバい、俺めっちゃドキドキして来た。」 「アホか。誰もテメーにゃ告白しねェから安心しろ。」 すかさずそうツッコミを入れる。そしてその後はもう誰もしゃべらず、静かに見守っていた。 しかし待てど暮らせど、相手は現れない。 「遅いね。」 「ねー。」 それは彼女達も同じように感じているらしかった。 「来てくれないのかな…。」 真ん中の女がそうため息をつく。 「大丈夫だって、絶対来てくれるよ。みんな優しいって言ってるじゃん、浜荻センパイ。」 多分オレの心臓は一瞬、止まった。 「ちょちょちょ、ヤベェってコレ、超ヤベェって。」 オレは下のヤツの頭をバシバシ叩いた。 「マジか?浜荻って、浜荻 龍二!?」 しばらくすると、明らかに面倒くさそうな歩調で草を踏み分ける音が近付いて来た。 「あ…っ。センパイ、いきなり呼び出してすみません!」 「いや、別に。」 不安そうに謝る彼女達とは対照的に、龍二はさして興味もなさそうな表情をしていた。 [前へ][次へ] |