19 「マジで何があったワケ?」 「何でもないって。」 「ウソつけ。」 今までみたく周りを気にする事もなく、オレは話し続けた。 それくらい、『何か』が違っていたから。 「そんなんでオレが騙されっかよ。」 突然、バン!っと大きな音を立てて机に手を付いて龍二は立ち上がった。 「何でもねーって言ってんだろ!?」 初めて聞いたであろう龍二の怒声に、教室中の視線が集まった。そして静まり返った。 「何でもないってんならデケー声出してんじゃねェよ。」 「うるせーな、お前がしつこいからだ!!」 龍二は左腕でオレを押しのけ、教室を出ようとした。 「テメ、待てよ、龍二!」 「ついて来るな!!」 遠慮なしにドアを蹴り開けたアイツの行動に、それ以上は何も言えなかった。 「なに、タカ。どしたの?浜荻。」 しばらくして、側にいたヤツが口を開いた。 「いや、オレも分かんね。」 この件があってから龍二はオレと目を合わせる事すら、絶対にしなかった。 これこそが避けられている状態なんだと、身を持って実感した。 卒業式を間近に控えたレイから電話が来て、龍二が部活にも顔を出していない事を知る。 当然ウチに遊びに来る事もなくなっていたから、オレにその理由が分かるワケがない。 もしもこの時。 何度何回拒絶されても、オレが龍二の人生に食い込んで行っていけていたのならば。 龍二は破滅へと向かわずに済んだのだろうか。 龍二と、 優花は。 [前へ][次へ] |