17
「失礼しまーす。」
ガラガラと扉を開けた龍二に続いて、夕日の射す室内を見渡した。
「いねェじゃん。」
「何だ、高砂。関口先生ならまだ職員会議だぞ。」
「違ェよ、今日は呼び出し食らってねェっつーの!」
そうか、と笑っている担任に、こっちも苦笑いだ。
オレは担任に事情を話し、バスケ部の顧問の先生に借りたバス代を渡した。
「どうでもいいけどお前達、珍しい組み合わせだな。」
職員室を出ようとしたオレ達に、担任はそう言った。
「そうですか?」
龍二は愛想笑いを残し、先に出て行った。
「なァ。お前さ、」
「ん?」
クツを履き変えて昇降口を出ると、夕日はもうほとんど沈んでいた。
「いや、なんでもねェ。」
もしかしたら避けられてるとかって思ってたの、完全にオレの被害妄想…?
「あー。そうだオレ、明日英語で当てられんだよ。ちょっと教えてくれ。」
「何言ってんだよ。曙覧のが頭良いじゃねーか。」
「英語はお前のが得意だろ。」
「別に、得意とかそういうんじゃないけど。」
まァな、そりゃそーだ。『日常生活』だったんだから、得意もクソもねェか。
「つーかお前、英語はやっぱ毎回満点なワケ?」
「な訳ねーだろ。全然スペル分かんねーもん、俺。」
そっか。3歳じゃ文字を書けるハズがない。
言われて妙に納得した。
[前へ][次へ]
無料HPエムペ!