14 「お待たせ。全員いるか?」 先生の後ろを、ひょこひょこと龍二が歩いて来た。 「お前、大丈夫か?」 オレは自分が何故バスケ部員に交ざってココにいるのかも忘れて、龍二に駆け寄った。 「うん。大丈夫だよ。」 そう言いながら、オレの肩に手を置いて歩く。本当は大丈夫じゃねェんじゃねェのか? 「学校に戻る予定だったが、反省会は日を改めよう。」 関係ないけどコイツ、意外と背ぇ伸びてんな。去年まで同じくらいだったはずなのに。 オレの方が低いんだから肩貸す意味なくね? いつの間にかレイは事情を話していたらしく、先生はオレを手招きした。 「何だよ、仕方のない奴だな。」 「仕方ねェって言われても、オレ悪くねっスよ。」 「いや、お前がじゃないよ。」 そう言いつつも、何故か先生はどこか嬉しそうな表情をしていた。 日曜日のバスは空いていた。中途半端な時間帯だし、余計に。 ガラ空きにも関わらず、部員は誰も座席に着かない。それが規則なのだろう。 「ほら、お前は座れ。」 自分だけを誘導する顧問に、龍二は戸惑っていた。 「総体に、優秀な3Pシューターを欠く訳にはいかん。」 そう促され、おとなしく座った。 「浜荻はどこが近いんだ?」 他の部員は学校前で下車して徒歩で帰らせるらしいが、龍二は自宅の最寄りのバス停で下りて直帰しろとの事だった。 「俺、区役所前です。」 「そうか。気を付けて帰れよ。」 いやいや。つーか、先生。コイツんち、駅前大通で下りた方が全然近いよ。 [前へ][次へ] |