居場所を求めて
「てゆーかお兄さん、グレてたんだ?」
「嫁見りゃ分かんでしょ。」
うん、そうだね…。
「ノブはねェ、中学もロクに行かず暴走族やってたよ。
俺、似てるモンだからしょっちゅうアイツに間違えられてさ。」
いつもヤンキーにからまれてたらしい。
「大変だぁ…。」
「ま、それはいいんだけどサ。
だから俺が家出た時も、誰も気付かなかったらしい。」
「え、家出したの!?」
「そんな大げさなモンじゃねェけどな。
当時高1で、龍二はひとり暮らししてたんだよ。だから転がり込んだ。」
「高校は?」
「龍二んちから普通に通ってたよ。実家から行くより近かったしな。
ほんでたまに帰っても、『洗濯物が減っていい』だの『食費がこれだけ減った』だの、そんなんばっかょ。」
居場所がなかった、と、言った。
「だから、ずっとアイツと暮らしてたんさ。
意外と誰かさんも寂しがり屋だし。」
「龍二サンが?」
「そうだよ。
つか、俺がいないと不摂生で仕方ねェや。アイツは。」
「あ〜、なんかそれは分かる気がする…。」
「だから俺、未だに嫁呼ばわりなんだよなァ〜。」
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