社長令嬢
そこは景色のいいレストラン。
お父さんが帰って来ると、私達3人は必ずここに食事に来るのだ。
私が子供の時からの恒例の行事。
顔なじみの支配人が、
「お待ちしておりました。お母様お見えですよ。」
と、席に案内してくれた。
母とアッケは笑顔で、挨拶を交わす。
「ね、お父さんは?」
「少し遅れるみたいなの。」
ごめんなさいねと母はアッケに謝り、先に食事をする事にした。
「ここ、ワインが美味しいんですよ。
良かったらどうぞ。」
アッケはメニューを見て固まってる。
「…どしたの?」
「俺、知らんかった。全然実家の事話さないし。」
「なぁに?」
「何気にお嬢様だったのな…。」
「…私??普通の家で育ったけど?」
母は、贅沢には育ててませんよ。と笑う。
「そうだよ、ウチなんか龍二サンちより全然狭いよ。普通のマンション。」
アッケは母に、父の仕事を再度聞く。
「『輸入業』って私、言ったじゃ〜ん。」
「ええ。貿易会社の、代表取締役です。」
「…お前、社長なんて言わなかったじゃねェかよ〜…。」
社長?
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