在る筈なのに
「それで、英語しゃべれるんだ!」
「うん。むしろ日本語より先に英語を覚えたんだけどね。」
「なんでオーストラリアにいたんですか?」
聖菜ちゃんが聞く。
「なんでって、母親がオーストラリアで俺を産んだから。」
「…そういうんじゃなくて〜。」
聖菜ちゃんは困り顔。
「ま、色々あったんだよね。後は内緒。」
そういえば、アッケも龍二サンの親の話しってしないなぁ。
お姉さんの事はこないだ教えてくれたけど。
中学の時には既に、お姉さんとふたり暮らしだったはず。
なんか事情がある家庭だったのカナ。
「もー!後はって、何があるの〜。」
「だから秘密だってば。」
「…いいもん。いつか全部暴いてやるっ!」
私がなんとなく龍二サンに感じた不思議な雰囲気は、こういう事だったんだ。
そこにいるんだから触れられるのに、実態がない様な雰囲気。
魂が、ここにない感じ。
彼女が、持ってっちゃったのカナ。。。
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