過剰摂取
ウチに到着した龍二サンは思っていたよりは普通だった。
ただ、酷く顔色は悪い。
「大丈夫…?」
「大丈夫。死なない。」
そう答えながらソファに体を沈める彼。
「バッドトリップってなぁひとりでいんと、際限なくオチてくんだ。誰かといりゃ平気だろうよ。」
アッケはまたビールを取り出した。
「俺も。」
龍二サンが手を出すが、
「駄目だ。」
アッケは強い口調で断った。
「フルニトラゼパムとアルコールは併用しちゃいかん。俺でもトブぜ、そんなん。」
龍二サンは諦めた様にそのまま目を閉じる。
「寝るんなら俺の部屋行きな。ベッドあんから。」
その言葉に彼は無言で素直に従い、少しふらつきながらリビングを出た。
「ね、ホントに大丈夫なの?」
「大丈夫だよ、俺も経験あんけどサ。」
「…どうして?」
「いや。だから用量間違えて、」
「違う。」
「どうしてドラッグなんか持ってたの!?」
「勘違いすんな。別にジャンキーって訳じゃない。」
単純に不眠症だったんだよ。と、彼は私に背を向けた。
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