保護
アッケは、ちらっと私を見た。
そして深いため息とともに、
「迎え行ってやる。どこいんだ?」
と言った。
「は?別にお前のためじゃねェよ。ココにね、泣きそうな顔してる子がいんの!」
アッケは車の鍵を手にしながら
「はいよ。分かった。」
と、電話を切った。
「…龍二サンて鬱病なの?」
「この時期だけね。」
Tシャツを着ながらアッケはそう答えた。
「16年前の4月末にいなくなったからょ。」
…そうなんだ。
龍二サンの子供を妊娠した彼女が姿を消したのが、今の季節なんだ…。
アッケが帰って来るまで、ひとりで色々考えてた。
私、現状の幸せに甘え過ぎかもしれない。
アッケに…、甘え過ぎだ。
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