もう、謝れないんだね
「どうして…?」
「あ?」
「どうして、龍二サンは髪の毛を黒くしていたの?」
告別式までの合間に、アッケに聞いた。
「日本に、逃げて来たようなモンだったからな。
…目立ちたくなかったんだろ。」
「でも、撫子サンは?金髪のままだったんじゃん?」
「撫子は、龍二を守るため。むしろ自分が目立った方が好都合だったんだよ。
『もう誰も、失いたくない』って、良く言ってたサ。」
まだ幼かった龍二サンと違い、記憶に残る年令だった撫子サン。
残された唯一の、家族を守るため…。
「ね、目は?黒かったじゃん?カラコン?」
アッケはちょっと笑った。
「ちゃうちゃう。直接、眼球に特殊なレンズ埋め込んでたんだ。
アイツのコンタクトは透明のヤツだよ。
それももう、取り除かれたはずだ。」
「見たかったら、死体のまぶたこじ開けてみ。綺麗なブルーだぜ。」
「…。
いい…。」
「ま、しかしあん時の龍二、驚いてたよな。」
「え?」
「お前が『金髪のが自然だ』って、言った時。」
「…あ、そういえば。」
「見透かされた様で、すげェ嫌そうな顔してたっけか。」
えぇ〜…、そうだったんだ…。
悪い事言っちゃったなぁ。
「いつから、そんな事してたの?」
まさか3歳の子供の髪を染め、目にレンズを入れていた…?
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