見たくない…でも
アッケは、バスの中でもまた寝ていた。
移動時間は約10分。
隣の私に寄りかかり、静かに寝息を立てている。
「着いたよ、大丈夫?」
「…うっし!」
立ち上がり、尊命を抱っこする。
「だいぶスッキリした。
んぁヤベ、よだれ垂らしてた。」
汚ねーな、と、撫子サンは苦笑い。
教会の中は、厳静なムードに包まれていた。
棺の側で泣きながら英語で語り合う人たち。
お棺、今開いてるんだ…。
その後、神父さんはずっと英語でしゃべっていた。
すすり泣く声があちこちから聞こえる。
案の定子供たちはグズり出したので、私は静かに外へ出る。
30分くらい経った頃アッケが出て来た。
「見てるから、お前も行って来な。」
なんだろうと思いながら中に入ると、みんなお花を棺の中にそっと置いている。
私はまだ、彼の遺体は目にしていない。
龍二サンは、どんな顔をしているのだろうか…。
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