最大の秘密
彼女に近付けなかった。
なんにも言えなかった。
聖菜ちゃんは私に気付いているのかいないのか、それすらも判断出来ない。
どれくらいの時間が経過したのだろう。
アッケが戻って来た。
「ちょっと…、こっち来な。」
アッケに言われ、聖菜ちゃんから少し離れて座る。
「アイツ、仕事中に倒れて救急車で搬送されたけど…、病院着いた時には…もうダメだったらしい。」
私は涙が溢れて来た。
本当に…。
亡くなったんだ…。
「仕方ねェよ。
アイツの弟、確か心臓病で早死にしてんだ。
産まれた時から、20歳まで生きれないだとかって言われてたんだと。
長生きした方じゃね?」
でも…。
「アイツの姉貴が今夜には到着する。
喪主は…、どうかな。明日、かな…。」
止めて、聞きたくないよ…。
喪主だなんて…。
…え?
「お姉さんじゃないの?」
私はしゃくりあげながら、聞いた。
「あぁ、違う。
実は龍二…。
結婚、してんだ。
嫁さんが、アメリカから来る。」
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