彼女の仕事
「ゴメンなさい、お待たせ!」
かちっとしたスーツに眼鏡をかけた、アーヤサンが飛び込んで来た。
「あ〜もう、タカ!禁煙だって、何回言わせるのよ!!」
「っせーな、お前が待たせるからだ。」
私は無言でアッケがくわえていたタバコを、取り上げる。
アーヤサンは
「尻に敷いた方が、夫婦はうまく行くからね〜♪」
と、爆笑していた。
私は遅くなったけれど、出産祝いのお礼を伝えた。
「いいのよ。たまたま、出帳先で目についたから!」
彼女はジャケットを脱ぎ、照明やカメラの調節をしながらそう言った。
そして私に椅子に座る様に指示。着物の裾や袖を綺麗に整えてくれ
「こっち見ててね〜。ちょっとテストするから。」
と、数枚撮ってくれた。
アーヤサンて、有名なのかな。こんなすごいビル持ってるくらいだもんね。
「ちょっと固いかな〜。」
「そら無理だべ。コイツはモデルじゃねェもんょ。」
アッケと何やら話している。
「リラックスリラックス、笑って!何にも恐い事しないから〜。」
固いって、私の表情?
友達と写真を撮るノリみたいに、笑えないよ〜。
「今まで、1番嬉しかった事ってなぁに〜?」
え?1番嬉しかったコト?
[前へ][次へ]
無料HPエムペ!