探してあげて
「俺、泣いちゃったよ。ふたり共が無事に産まれた瞬間。」
ホントだったんだ…。
一応、知らないフリをしといた。
「出産って、あんなに大変なんだね。初めて目の当たりにして、分かった。」
「俺、ユカが産んだとは思えないや。」
「分かんないじゃん!」
私は強い口調で言った。
驚いて顔を上げる、彼。
「どうして諦めちゃうの?自分を否定する事、言わないで。
悲しいよ、そんなの!」
そうだね、と、苦笑いされた。
私なんかが何を言っても、彼の心には響かない。
そんなの分かってる。
それでもいいよ。
でも…、
龍二サンが諦めたら終わりだよ。
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