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続いて
「まだよ、あとひとりだからね!」

産声を確認する余裕もなく、また次の陣痛が押し寄せる。

ちなみにアッケが乗り出していたため、赤ちゃんは全然見えなかった。



やはり指示通りに呼吸し、いきむ。

だが、なかなか産まれない。




「後3回でダメなら吸引、それでダメなら緊急帝王切開に切り替えます!」

先生は私たちにそう言った。

「胎児、心拍低下!」
「麻酔科と、産科の医師に連絡して!!」
「血圧計って!」

数々の声が飛び交う。


私の腕に血圧計が巻かれ、酸素マスクみたいな物をつけられた。
私が過呼吸をおこしていたため、赤ちゃんに酸素がいかないらしい。


半ばパニックになっていたがアッケの腕のぬくもりを確かめ、私はかろうじて正気を保っている。

吸引分娩の用意が整うと同時に、麻酔科の医師や産科の医師が駆け込んで来た。

看護士さんが「旦那さん、邪魔!」と叫び、私に馬乗りになった。

陣痛に合わせて、上から2回お腹を強く押す。



「次で最後です、頑張って!!」


私はもう痛みは感じていなかった。




無事、産まれて欲しい…。



その一心で、

私は渾身の力を込めて、

獣の様な叫び声を上げて、


いきんだ。





「頭、見えて来ました!このまま行きましょう!!」








次でするっと、ふたり目が誕生した。

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あきゅろす。
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