彼女は変わってる?
「名前、何て言う人なの?」
「ユカ。」
龍二サンはまた、鉛筆を手にした。
「あ、違うか。
本当は『優花(ユウカ)』。」
「え、どっち??」
「だから、優花だよ。
俺は『ユカ』って呼んでたんだ。」
龍二サンは器用に、鉛筆をくるくる回す。
「なんで?」
「呼びにくいから。
発音、しにくいんだよね。そういう日本語。」
「そうなんだ?」
「アレ?じゃあ、聖菜ちゃんて…?」
「うん。『セイナ』だよ、アイツ。」
「え、私ずっと『セナ』だと思ってた!」
「違うよ。曙覧はちゃんと『セイナ』って呼んでたでしょ。」
「だってでも、龍二サンが『セナ』って言ってたから…。
アッケって彩子サンも『アーヤ』だから、聖菜ちゃんもそんな感じなのかと思ってた!」
そっか、と龍二サンは笑ってた。
「聖菜ちゃんも、何も言わなかったよ?」
「細かい事は気にしない性格だからね。」
「…だろうねぇ〜。」
じゃなかったら、龍二サンとはいられないヨ…。
「私、好きになったのが龍二サンじゃなくてホントに良かった〜。」
彼は、コーヒーを吹いた。
そして「ヒドいな、それ!」と、笑っていた。
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