会えない距離での
季節はあっという間に、冬。
クリスマスもお正月も返上で、アッケは当然仕事。
…約束したけど、仕方ないよね。
来年こそ、イヴを一緒に過ごしてやるぅ〜!
バイト先では龍二サンがシフトを作っていたから、その事を伝えた。
「あれ、去年モメてなかった?」
「そうなんだけど、働いてもらわないとネ〜。」
「そうだね。
ま、俺は出勤してもらえるなら助かるけど。」
そういえば、イヴは龍二サンの誕生日。
「毎年、仕事なの?」
「俺?そりゃそうだよ。」
「お誕生日なのに…。」
「30過ぎて、誕生日も何もないって。」
そういうもの?
バックルームの机に向かい、来月のシフト表を作ってる龍二サン。
私はその背中を眺めていた。
「…いつも思ってたんだけど。」
「ん?」
「淋しくないの?」
龍二サンは鉛筆を置き、私の方を見た。
「どうだろうね。」
煙草を手に取り、彼は答える。
「『淋しい』って言うのとは、ちょっと違うかな。
遠距離恋愛、してる感じ。」
心に生き続ける、『彼女』と。
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