ウ ソ ツ キ
「自爆したって…。」
つまり、勝手にコケたって事。
「うん。まぁ、確かに間違いじゃないかな。」
「どういう事?」
龍二サンは私の質問には答えずに、
「アイツもうバイク乗って15〜6年か?人生の半分だよね。
今まで軽くコケたのは、たくさんあったけど。」
事故を起こしたのは初めてだ、と彼は言った。
「アイツの車乗ってても分かると思うけど、安全運転だろ。
動体視力もいいしね。」
龍二サンはしばらく考えた後
「子供が、飛び出して来たんだ。」
煙草の煙りを吐きながら、そう言った。
「え…あ、人身事故!?」
「ううん、子供は無傷。曙覧が避けたから。
ブレーキじゃ到底止まれない距離だったよ。自分でバイクを倒して止めるしか、方法はなかった。
実は俺その時、一緒に原チャリで走ってたんだ。」
「子供を…、助けるために…?」
「うん。
でね、アイツ事故直後は割と意識はっきりしてたんだ。」
…私そんな事、一言も…聞いてない。
「なんて言ったと思う?その子供の母親に。」
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