だから、帰って来てね
「和製英語ではありますが、『スキンシップ』と言われるには理由がありましたね。」
医師は笑顔で、私に言った。
アッケの容態は安定して来ていると。
「今朝方2度、ゆっくり瞬きをしたそうです。」
これはこれで、気がおかしくなりそうだ。
…嬉し過ぎて。
「あぁ、今は起きてますよ。」
私が見ても、分かるはずのないモニター。先生がそう言うなら、信じるしかない。
しかしアッケは相変わらず、目は閉じたままだ。
私は耳元で、呼んでみた。
反応は、ない。
しばらくそうしていたが5分経過したので、落胆しながら離れた。
ビニールカーテンから出て、ドアを開けよとした時。
先生が小さく声をあげた。
その声に振り向くと、
アッケは目を開け
少し、こちらに手を延ばしていた。
私は先生を押し退け、その手を取った。
声にはなっていなかったけど、確実に私にだけは聞こえたよ。
「ヒトミ」
って。。。
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