伝わる、ぬくもり
私が修学旅行から帰って来て、1週間が経過した。
アッケが事故を起こしてからは9日。
出発の日に私を送ったあと車からバイクに乗り換え、すぐ事故にあったらしかった。
だから那覇に到着する頃には私、落ち着かなくなってたんだ。
これまで、引っきり無しに色んな人がお見舞いに来てくれた。
仕事関係の人から学生時代の同級生、本当に様々な人が来てくれた。
アッケの携帯がなんでいーっつも鳴っていたか、分かった気がする。
お友達、たくさんいたんだね…。
「今日は、私も一緒でいいですか?」
担当医が、私に言う。
アッケの容態は一進一退。
最初の時以来、目を開ける事もなかった。
それでも唯一、私たちふたりの時間なのに…。
内心は嫌だったがそうも言えない。
減菌服に着替えた私を、信じられない言葉が待ち受けていた。
「彼に、触れてみて下さい。反応があるかもしれない。」
ゴムみたいな手袋は着用させられたけど、カーテン越しとは比較にならないほど、距離が近付いた。
そぉっと、点滴だらけの、アッケの腕に触れる。
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