捨てよう
鉛の様な体を引きずり、学校に行った。
始業前の職員室で、先生達はコーヒーを飲んだりしている。
「おっ、高砂!今日は早いな〜。どうした?
あっ、先生分かったぞ〜。」
学年主任の関口先生が、明るく話しかけて来た。
「先生にこっそり、沖縄のお土産を渡そうと来てくれたんだろ〜。」
それを聞いていた先生達は、みんな笑う。
私は顔を上げ、職員室を見渡した。
「金泉先生は?」
私の担任だ。
「カナちゃんまだ来てないよ。
なんだ〜!俺にじゃなくて、カナちゃんにかよ〜。
って、高砂!お前何かあったのか!?」
私はノーメイクなのはもちろん、それ以前に酷い顔をしていたのだろう。
2日間、眠っていないし食べてもいない。
「どうした…、何か、金泉先生に相談事か?」
「違います。相談したって、解決しない。
退学届をもらいたかったんです。」
「…何があったんだ?突然、そんな。」
職員室が、ざわめく。
「何が、あったか…?」
私の唇は震えた。
しかしそれを堪えて、職員室中に響き渡る大声で叫んだ。
「旦那が交通事故にあって、死ぬかも知れないんです!!!」
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