触れてはダメ。。。
私は龍二サンに支えられながら、なんとか歩いた。
頭が痛い。
気持ち悪い。
めまいがする。
お腹も痛い。
なにより…心が、痛い。
ロビーには、お母さんと紫亘サンと邑希サンがいた。
私は、3人に挨拶どころか口をきく事すら、出来なかった。
「今日は…、あんまり良くないらしくて…。」
お母さんは真っ青な顔色とは正反対の、真っ赤な目をしていた。
「だから面会は1人だけって、医者に言われたんだ。
俺ら、今日はいいからょ。」
紫亘サンも、酷いクマを作っていた。
「…行っておいで。」
龍二サンは私から手を話し、優しくそう言った。
状況を理解するのに、しばらく時間がかかった。
だって、私が面会に行ったら…、3人は行けない…。
「え…あ、私…。」
いいのよ、とお母さんは涙ぐみながら言った。
「あの子が1番会いたいのは、ヒトミちゃんだろうから。」
私は泣きながらやっとお礼を言い、昨日と同じ減菌服に着替えエアーシャワーを浴びる。
それでも、やはりカーテン越しの面会。
触れたい…。
私の大切な、彼に触れたい…。
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