静かに、音を立てて
遥は私を見つけ、いきなり抱き付いて来た。
「大丈夫!?大丈夫なの!?」
…大丈夫、だと思うよ。
てか、みんな見てるし。
女のコ同士で、こんなの変だよぅ。
遥は私から離れて、席に座る。
「どうなの、旦那さん…。」
「ICUにいる。
頭、打ったって。あと、足折った。」
「頭…。」
「でも大きな外傷はないみたい。
このまま、安定してれば問題ないって。」
私は淡々と話す。
昨日は、あれだけパニックを起こしたのに。
「そう…。」
遥は、黙り込む。
私も、黙り込む。
周りの喧騒が、やけに耳につく。
「ヒトミ、泣かないで…。」
え?
私はまた、いつの間にか涙を流していた。
「…うん。大丈夫。」
しゃくり上げる事もなく私の涙はとめどなく、静かに流れ落ちるだけ。
そしてやはり音もなく、静かに壊れる。
『心が死ぬ時』
って、こんな感じカナ…。
その時、私の携帯が鳴った。
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