錯乱状態
大学付属病院に到着し、彼の後をついて歩く。
何度か来ていたのだろうか。
迷う事なく、進む。
別棟の1番奥。
『ICU』
と書かれた無機質な案内板が見えた。
「あれ、誰もいないのかな。ちょっと待ってて。」
龍二サンは看護士さんと一緒に戻って来た。
彼女は私を見て「お身内の方…って、妹さん?」と言った。
「妻です。」
機嫌が悪いとかそんなレベルじゃない私の、態度は最悪だったと思う。
思っきり彼女を睨みつけ、ぶっきらぼうに答えた。
看護士さんはちょっと怯んだ感じで、
「つい先程、眠ったばっかりなんですよ。
先に先生とお話しして下さい。
現在の容態等、詳しく説明を…」
私は何の罪も悪意もない彼女に掴みかかり、怒鳴った。
「会わせて!!」
どうして他人(ヒト)に決められなきゃなんないの!?
「今すぐ会わせて!!」
私のだよ、私のアッケだよ!?
私は押し倒した看護士さんに馬乗りになり、そう怒鳴り散らしていたが龍二サンに取り押さえされた。
「落ち着いて、ヒトミちゃん!大丈夫、大丈夫だ!!
曙覧は大丈夫だから!!」
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